拙者放浪記 厚木、伊勢原経由、小田原行き



〜〜〜拙者放浪記 厚木、伊勢原経由、小田原行き




 市街地は心休まります。
 ごみごみと入り組んで、億劫なほどに信号機に待ち伏せされてしまいますが―――
 道という性質ばかりではなく住処としての匂いも立ち込めて、それがどこか、安心できるようです。

 すっかりほぐれ、まだ疲労が芯に残ってるものの昨夕とは驚くほど快活に動く身体は、ペダルを踏む度に快速で町を巡り渡ります。
 最初からペースを使い過ぎないよう気をつかいましたが、それでも肉体にはどこか余裕が感じられ、涼しく首筋を撫でる疾風に従うことにします。

 そしてしばらく走ると、当然ながら通学時間に差し掛かりました。
 高校生、中学生、小学生、それから少し間を置いて園児達が町行きます。

 女子高生の華やかな姿に、中学生の初々しい姿。
 他愛のない若々しい会話の切れ端が耳を過ぎっては、無常に過ぎ去り、少し名残惜しさを誘います。


 小学生含め彼らは道一杯に広がる悪い癖あります。

 それをひょいひょいとかわし車道に逃げて、車に負けないスピードで次の歩道まで走り渡り………
 そして嗚呼、何度ブレーキを踏んだことか………。

 邪魔とは勝手な物言いはしませんが、危なっかしいなぁ・・・と、不安になります。
 自転車通学組のサラリーマン達は、そんな彼らを慣れた様子でぬって行きますが………。


 通学時間が終わる頃にはすっかり厚木を抜けて、伊勢原経由の道を選びました。

 地図を見る限り少し、山の勾配があるようで不安でしたが、海岸線経由で気まぐれな風に翻弄されるより有効と考えました。
 何より海岸はその構造上の都合から、歩道が狭くなるケースが多く、安全面からもかえって遠回りになりまねません。

 伊勢原に入り、行けば行くほど人口建築物は姿を消してゆきます。
 行きは少しずつ、少しずつ昇ってゆくなだらかな道が頻繁で、思いのほか勾配は気に掛かりません。
 さすがに長い経路でしたので、相応に時間は掛かりましたが、通行を阻害するものは数少なく思いのほかのペースで走り渡りました。


 伊勢原、および小田原までの経路の印象は、車の町でした。
 勿論、国道を使っての往来ですから当然そうなってしまうのかもしれませんが………。

 ですがこれは印象として、他の町と見比べ車による観光客、および通勤客を対象とした商売が数多見受けられました。

 ちょうど昼前でして、空腹を覚えたのですが思いの他、観光客を対象とした飲食店ばかり。
 これは少し―――いえ、お腹具合としてはかなり困りました。

 旅の醍醐味が全くないと、批判される方もいるかもしれませんが、その手のお店は高いです。
 いえ、それだけなら良しも、すご〜〜〜く入りにくいです………。


 でかでかと立派な看板を立てて、○○○においでやす。○○○名物!
 などと描かれている様子からは、とてもとてもお財布的にやさしくないのです。
 場末のラーメン屋ぐらいが本当に都合が良く、けれどそんなものが国道にあるわけもなく。

 先延ばし先延ばしと道行けば、小田原へと到着していた次第です。




戻る